『非営利組織の経営』P.F.ドラッカー/ダイヤモンド社

印象に残った文(一部)

最古の非営利組織は日本にある。日本の寺は自治的だった。(p.ⅲ)

非営利組織は、人を変えたとき役割を果たす。(p.ⅷ)

しかし、そのようなリーダーシップこそが間違ったリーダーシップである。(p.2)

重要なことは強みによる成果である。なすべきもののうち、うまくいっているものをさらにうまく行わなければならない。(p.7)

リーダーとしての能力の第一が、人のいうことを聞く意欲、能力、姿勢である。(…)第二が、(…)自分の考えを理解してもらう意欲である。(…)第三が、言い訳をしないことである。(…)第四が、仕事の重要性に比べれば、自分などとるに足りないことを認識することである。(p.23)

これまで私は、ボランティアに行うべき仕事を教え、そのトレーニングを行い、必要な道具を与えるということをしないために、失敗したプログラムをたくさん目にしてきました。(p.36)

誰かが必ず「ありがとう。素晴らしい仕事をしていただきました」というのです。(p.38)

人がすでにもっているものを使って人を育てなければなりません。人を変えることはできません。(p.43)

今日求められている学校とは、十人中九人が行けなかった頃のものとは違う。(p.51)

自分たちは、誰にとって大事な存在になりたいかについて徹底して考えなければならないということです。(p.98)

イノベーションの戦略とは、最初の段階からこれらのプロセスを考え抜くことである。(p.112)

組織の構造が活動の実態に合わなくなった。であれば構造のほうを変えなければならない。(p.128)

この点に関しては日本から多くのことを学ばなければならない。彼らは決定の前に実行を組み込む。(…)このプロセスは恐ろしく遅く見える。(…)しかし日本では、ひとたび決定が行われるやもはや売り込む必要はない。翌日には全員が決定の意味を知り、動き始めている。(p.143‐144)

学校があげるべき成果は三つあると思います。第一は知識です。第二は社会的な能力です。第三は人としての成長です。残念ながら、これらの成果を評価測定できるところまではとうていきていません。(p.147)

もし、子供たちの圧倒的多数が、仲間うちだけで育つようなことにでもなれば、アメリカという国はどうなってしまうでしょうか。だから私たちは公立学校を救う方向に路線を変えたのです。(p.152)

挑戦してくるならばチャンスを与えるべきである。挑戦してこないならば辞めてもらうべきである。(p.169)

面白いことに、それまで大勢の者を悩ませていた問題のほとんどが、表に出たとたんに消える。私の友人は、そのような問題を靴の中の小石と呼んでいる。(p.179)

議論を避けたり、問題を小さく見せてはいけません。粉飾してもいけません。(p.193)

一対一で話します。根回しなしに理事会にはもち出しません。理事会が反対しては収拾がつかなくなります。根回しが大切です。(p.194)

組織が腐っているとき、自分が所を得ていないとき、あるいは成果が認められないときには辞めることが正しい道である。(p.213)

読み手であるか聞き手であるかが問題なのだ。(…)多くの人が、話し上手だから人との関係づくりは得意だと思っている。対人関係のポイントが聞く力にあることを知らない。(p.217)

「自分の人生は自分で設計しなさい。誰も設計してはくれませんよ」(p.237)

読んだ感想

無料学習支援を始めようと決めるも、なかなか進まず我ながらもどかしく思っていた時に買った本。
読み始めるまでに少し時間がかかったが、読み始まると一気だった。

まず、第一章のはじめのページに

他方、私が非営利組織の人たちからよく聞かれることが、「リーダーの資質とは何か」である。この問いは、まるでリーダーシップが作法教室で学べるものであると考えているかのようである。同時にリーダーシップがすべてであって、それ自体が目的であると考えているかのようである。しかし、そのようなリーダーシップこそが間違ったリーダーシップである。(p.2)

とあり、そこでなぜか涙が出た。
自分にはリーダーシップがないと思っていて、それでも人とかかわりながら無料学習支援をしたいとも思い、果たしてできるのかという不安がたぶんずっとあった。
そこにきてこの文で、見ないようにしていた不安と向き合わされたというか、励まされたような気になったというか、安堵感のようなものもあって、自分でもよくわからない涙が流れた。

そもそもリーダーシップとはどういうものなのか、自分の中でも歪んだとらえがあったのかもしれない。
そこからとらえ直すことができる本だった。

***

思っていたよりも、実際に動き出すために必要となる具体的なことが書いてあったのでよかった。
自分のミッションは何か、そしてそのミッションを具体化するには何が必要かを考えていく必要がある。
ぼんやりとしていた「すべきこと」が、少し見えてきた。

無料学習支援についてもだが、学校のことにも通ずる内容だった。
今子どもが生きている世の中も教育で行おうとしていることも変わってきているのに、組織の形や仕事の内容、方法がさほど変わっていないのは問題だし、教員不足もそれが理由だと思う。
例えば小学校だったら、特にトレーニングも無くすべきことの基準もはっきりしないまま、職人のように担任業務をしないといけない。
評価の規準も基準もはっきりせず、教員一人ひとりの強みを生かすことにもならない。
働く側の環境を整えることが重要だと思う。

***

共感できることがたくさん語られており、日本でも欧米でも思いが同じ人がいるのだと改めて感じた。
歴史や文化や言語の違いを根拠に、日本だから欧米だからと何気に結構こだわっていた自分にも気づいた。
その視点も必要だとは思うが、国が違っても同じことを考えている人はいるし、同じ国でも違うことを考えている人がいる。
当たり前のことだけど、大切なことだと思う。

とはいえ、日本には日本の独自性がある。
それをまた考えるために『「空気」と「世間」』を再読することにした。

(2023.4)

『「空気」と「世間」』鴻上尚史/講談社現代新書
「鴻上尚史のほがらか人生相談」の鴻上尚史さんです。
【再読】『「空気」と「世間」』鴻上尚史/講談社現代新書
初めて読んだのは13年前です当時も今回も読んでよかったと思いました 今回は、『非営利組織の経営』を読んだ後に再読したくなりました 印象に残った文(一部) 一部とはいえ、まあまあの量です 「空気」もまた、その正体を知らないまま、「読み方」だけ...

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